納豆から学ぶこと
この仕事をしていると「納豆はいつなのですか?」と必ず聞かれるので、いつかは登場させなくちゃ、とは思っていました。
そんな折り、耳にしたのが地面に穴を掘ってその中で発酵させる自家製納豆の話です。
頭には穴いっぱいの藁と納豆の図が浮かびます。何て素晴らしいものでしょう!
早速外出することにしました。
「桜が咲いたらいつでもどうぞ」と言ってくださったのは、栃木県の那須氏でお茶とこんにゃくをつくっている東野りょうじさんとユキホさん夫妻です。
東野家の姑から嫁へ脈々と伝えられてきたこの納豆製法は土の温度が決め手なので、春か秋が収穫時期なのです。藁ツトの藁は自家用の米をつくる田んぼで採れた稲藁です。湿らせた藁ツトに煮上がった大豆を入れ、冷めないようにじしらちに手早く縛り、藁を敷いた進でくるみ込みます。次に畑の隅に掘った穴の中で藁を一束燃やして温度を上げ、その灰の上に鰹包みを置いて土をかけていきます。あとは明々後日まで楽しみにひたすら待つだけです。
途中、蕊ツトの中に詰められた豆がこぼれずにきちんと美しく整って納まっているのに感心したことを今でも覚えています。
以前取り上げた「たまご卵タマゴ」もそうですが、藁という細い繊維の寄せ集めで卵や豆を包むという発想が現代の若者にはまずないでしょう。
でも袋も箱も器もプラスチックもアルミホイルなかった時代は木の葉や草に食べ物を包むのが当然の習慣だったわけです。その古代人の生活グッズのデザインのオリジナルずっと残っているのです。